福岡の日本酒は奥が深い。著者がおすすめしたい本当の美酒8選

福岡 日本酒

九州で酒といえば焼酎をイメージされる人も多いでしょうが、実は歴史的に見て福岡は日本酒造りの盛んな土地でもあります。現在清酒を造る酒蔵は全国5位に当たる57蔵もあり、生類憐れみの令で有名な五代将軍・徳川綱吉の時代(元禄年間)には、600軒を超える酒蔵があったほどです。

日本最古の水田跡が発見されたことでもわかるように、福岡には古代から続く長い稲作の歴史があります。南部の筑後平野は現在も全国有数の米どころとして知られ、酒造好適米の王様「山田錦」の生産量は兵庫についで全国2位、その他の酒米の生産量では全国一を誇っています。

そして酒造りに適した筑後川の良質な軟水にも恵まれており、なおかつ冬場の気温が低く空気が乾燥した気候の福岡は、まさに日本酒造りにはもってこいの風土なのです。

今回の記事では、そんな福岡のおすすめ日本酒を紹介しています。ぜひ参考にしてください。

淡麗辛口から濃醇甘口まで、福岡の日本酒は幅が広くて奥も深い

「酒は飲め飲め 飲むならば〜」の歌い出しでおなじみの「黒田節」は、大河ドラマにもなった黒田官兵衛の家臣・母里太兵衛が、飲み比べに勝ったエピソードがもとになった福岡の民謡です。

大酒飲みを讃えるこの詞が長く唄い継がれていることでもわかる通り、福岡は酒好きが多い土地柄であり、日本酒消費量は全国で10位、九州ではダントツで1位に輝いています(2016年の統計データ)。

博多の飲食店でも、特に近年は日本酒をオーダーするお客さんが徐々に増えてきているとのことです。そんな福岡の日本酒の特徴は、全体的に淡麗辛口で、水炊きや辛子明太子などにピッタリなすっきり系の飲み口が主流です。

ただ、筑後川沿いの酒蔵では濃醇甘口の日本酒も造られており、もつ鍋や筑前煮など濃い味の郷土料理との相性は抜群です。幅が広くて奥行きも深く、そして何より旨い。それが福岡の日本酒です。

【人気急上昇!】近年注目度が高い、福岡のおすすめ日本酒3選

それではここ数年にかけて日本酒ファンの間で特に注目度が高まってきた、福岡を代表する人気の日本酒を3つご紹介しましょう。

福岡のおすすめ日本酒①「駿 純米」(いそのさわ)

山田錦を60%まで精米して醸した純米酒です。これほどの米の旨みとあと味のキレがありながら、お値段は1升瓶で2000円程度。コストパフォーマンスのよさは抜群です。燗にすると一段と香りと旨みが引き立ちます。

蔵元のいそのさわは明治26年(1893)の創業。蔵のある「うきは市浮羽町」は、全国で唯一の「上水道ゼロの町」として知られ、全世帯が井戸か山水で生活用水をまかなえている「水の町」です。

蔵の約3km上流には日本名水百選の一つ「清水湧水」があり、この名水を活かした酒造りによって、昭和27、28年には、当時順位づけのあった全国新酒鑑評会で2回連続全国1位を受賞したこともある実力蔵です。

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福岡のおすすめ日本酒②「喜多屋 極醸 大吟醸」(喜多屋)

福岡産の山田錦を35%まで精米し、自然の重力だけでしぼる「しずく搾り」によって仕上げた大吟醸酒です。優雅で華やかな香りと、芳醇かつ透明感のある味わいと余韻が絶妙のハーモニーを奏でます。

世界最大規模のワイン・コンペティション「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2013」SAKE部門で、最高賞の「チャンピオン・サケ」に選ばれた銘酒です。

蔵元の「喜多屋」は江戸文政年間に創業した老舗。その名は「酒を通して多くの喜びを伝えたい」という志のもとにつけられたものです。

創業以来「主人自ら酒造るべし」という家憲が受け継がれ、現在も社長自らが杜氏・蔵人たちとともに酒造りに勤しんでいます。

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福岡のおすすめ日本酒③「比良松 純米大吟醸酒40 挑(いどむ)」(篠崎)

「九州テロワール~九州の風土を醸す」がコンセプトの「比良松」は、地元の特約農家で作られた山田錦のみを原料米とし、蔵の地下水を使用して地元の蔵人が醸すという地産スタイルにこだわった銘柄です。

中でも全国新酒鑑評会の出品酒として造られたこの純米大吟醸「挑」は、華やかな香りに上品な甘みと旨み、そしてすっきりとした後味が特徴で、「SAKE COMPETITION 2017」純米大吟醸部門でGOLD5位に輝いています。

蔵元は江戸時代後期に筑前国・比良松村(現・朝倉市)で創業した株式会社篠崎。メインブランドは「国菊」で、100年以上の歴史がある銘柄です。

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【純米吟醸】安定したおいしさで根強い人気、福岡の日本酒3選

次は、地酒ファンの間で長きにわたって根強い人気を集めている、福岡の純米吟醸を3つご紹介します。

福岡のおすすめ日本酒④「杜の蔵 純米吟醸 翠水」(杜の蔵)

ほんのりと漂う吟醸香と上品な甘みの後に、控えめな旨みを感じるスマートな吟醸酒。口あたりが柔らかく、雑味のないすっきりとした味わいが特徴です。原料米には福岡産の夢一献を使用しています。少し冷やすか、ぬる燗でどうぞ。

蔵元の杜の蔵は明治31年(1898)操業。全国的にも知名度の高い、福岡を代表する清酒蔵元の一つです。2005年からは、製造する日本酒をすべて純米酒に切り替えています。

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福岡のおすすめ日本酒⑤「三井の寿 大辛口純米吟醸」(井上合名会社)

日本酒度+14の大辛口ですが、リンゴのような香りを持ち、甘・辛・酸がバランスよく調和したすっきり系の純米吟醸酒です。

表と裏の両方にラベルがあり、裏の赤ラベルはスラムダンクの天才スリーポイントシューター・三井寿(背番号14!)がモチーフです。

実は作者の井上雄彦が「三井の寿」のファンで、銘柄の名前をそのまま登場人物に取り入れたものです。スラムダンクファンには見逃せない日本酒となっています。

蔵元のみいの寿は大正11年(1922)の創業。「Quadrifoglio(クアドリフォリオ)」「CICALA(チカーラ)」「Porcini(ポルチーニ)」といった、おしゃれなイタリアンラベルの銘柄を持つ日本酒を次々と商品化して話題を呼んでいます。

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福岡のおすすめ日本酒⑥「繁桝 麹屋純米吟醸」(高橋商店)

甘すぎず辛すぎず、まろやかなコクとスッキリとした喉ごしが特徴の、コストパフォーマンスにすぐれた純米吟醸酒です。喉ごしがよいため、いくらでも飲めてしまいます。

蔵元は享保2年(1717)創業の高橋商店。味噌や醤油を醸造するための麹作りを家業としていたため、造り酒屋を営んだ後も、地元では長い間「麹屋」と呼ばれていました。

その呼び名が日本酒のブランドとしてよみがえった形です。

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【新感覚】日本酒の殻を打ち破った福岡のおすすめ日本酒2選

老舗ならではの伝統の技を活かしながらも、新しい発想でこれまでの日本酒のイメージをくつがえした、まったく新しい感覚の純米吟醸酒を2つご紹介します。

福岡のおすすめ日本酒⑦「庭のうぐいす スパークリングピンク」(山口酒造場)

スパークリングワインと同様、「ポン!」と響く抜栓音とシュワシュワと立ちのぼる泡、そして華やかな香りと味わい。まさに五感で楽しめるスパークリングタイプの純米吟醸酒です。

炭酸は予想以上に強烈で、ドライな飲み口とさわやかな酸味が口の中を駆けめぐります。赤色酵母を使った、あざやかなピンク色の「スパークリングピンク」とセットでお楽しみください。

蔵元の山口酒造場は天保3年(1832)に久留米で創業した老舗蔵。一羽のうぐいすが庭の湧き水で喉をうるおす姿を見て、5代目の蔵元が「庭のうぐいす」と名づけたとのことです。

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福岡のおすすめ日本酒⑧「黒兜 純米吟醸」(池亀酒造)

試行錯誤を重ねつつ、焼酎で使われる黒麹で仕込んだ全国的にも大変めずらしいタイプの純米吟醸酒です。原料米には山田錦を100%使用。無ろ過のため酒本来の旨みがしっかりと残っています。

イチゴのようなほのかに甘い吟醸香と、とろりとした口あたり、フレッシュな果実を思わせるさわやかな酸味、そして濃醇な旨みとコクは、今までの日本酒の印象を変える味わいとなっています。

どんな料理のおいしさも引き立てる懐の深い日本酒ですので、軽く冷やして、大きめで厚手のぐい呑みに少量注ぐのがおすすめの飲み方です。

蔵元の池亀酒造は、久留米藩の師範代で剣の達人と言われた初代源蔵が明治8年(1875)に創業。日本酒だけでなく、本格焼酎や日本で初めてのリキュールなど、個性豊かな商品を数多く生み出している進取の精神にあふれた酒蔵です。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。福岡には、辛子明太子やもつ鍋、鶏の水炊き、鉄鍋1口餃子、博多ラーメンなどなど、おいしいものが目白押しです。

福岡にお出かけの際は、おいしい地元のグルメといっしょに、福岡のおいしい日本酒もぜひ味わってみてください。

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