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ゼッタイ撮りたいオーロラ!【アラスカ編】 パート2:撮影の道具と知識

公開日:2021.11.06 更新日:2022.12.19

目次

株式会社MEBUKU

Pokke編集部
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オーロラを撮影するのは、思っているよりも簡単にできるものです。

実際現場で撮影をサポートしてきた私のささやかな経験から、オーロラを撮影したくて旅行に来られる方よりも、オーロラを見るのがメインだけど撮れるなら撮りたいという方が圧倒的に多いです。

オーロラの出ている中、みなさんが自由に撮影しています。
(写真は月の出る日だったため、明るく写し撮られています。)

このシリーズでは、普段あまり撮影していないけれど、オーロラを撮るためにカメラをやりたいという方に対して、つまり、カメラ初心者の一眼レフカメラ・デビューの方々に向けて記事を書いていきます

今回お話する重要ポイントは道具と知識それぞれ4点だけなので、ムズかしく考えずにいきましょう!

ゼッタイ写したいオーロラ!【ゼッ写!シリーズ第2弾】の今回の記事では、オーロラを撮影するのに必要な機材と、じっさいの撮影の前に知っておくべきことを、わかりやすく解説してゆきます。

人生でたった一度のオーロラ撮影、失敗しないために、Let’s get the most out of this knowledge!

それでは、いってみましょう。

1.確実に撮るために必要なモノ

カメラ本体、レンズ、三脚…。5万円で揃います。

1−1:長くシャッターを開けておく事ができるカメラ

確実にきれいに撮るためには、一眼レフカメラあるいはミラーレスカメラが必須です。これらのカメラには、シャッターを自由に開けておくことができる設定が必ずついていて、オーロラ撮影に最低限必要な機能になります。

メカにお金をかける人が、オーロラ撮影用カメラ選びで重視するポイントは、

  • 性能が良く、大きいセンサーがついたカメラ
  • 高いISO(フィルム感度)とその性能
  • F値の低い、明るいレンズ

しかし、これらをすべて求めようとすると、何十万円もする機材が必要になります。

一度のオーロラ撮影のために、何十万円もするカメラを買う必要はありません。型落ち(3、4年前に発売されたカメラなど)であれば安く手に入ります。たとえば、数年前に発売されたCanon の初級機 EOS M10 やNikon の D5500 、SONYのα5100など2020年現在でレンズと合わせても4〜5万円で手に入るものが多いです。しかも、それで十分に綺麗に撮影できます。

街のカメラ屋さんに行き、「オーロラが撮れるカメラを」とは聞かずに、「一眼レフあるいはミラーレスカメラの初級機で型落ちの安いものを」と言って探してもらいましょう。カメラ屋さんはオーロラ撮影を経験されたことがない方がほとんどなので、確実性をもって、高機能で高額な上位機種を勧められると思いますが…。店の人は高いのを買ってもらいたいはずですからね。

しかしながら、それでも初めに挙げた3つのポイントをすべておさえた高級機(上位機種・フラッグシップ)を購入したいという方は、オーロラ・星景写真に外国の方もよく使っている、Nikon D800、Nikon D810が、人気があります。そのほか、Canonの5Dシリーズ、SONYのα7Rシリーズが良いですね。どれもセンサーがフルサイズで、カメラ本体だけで20万円くらいします。

One Point Advice

中古を購入される場合は、同梱のバッテリーが消耗していないかチェックしてください。リチウム電池は寒さに弱いため、新品の購入をおすすめします。

1−2:明るい広角のレンズ 

(一眼レフ・ミラーレス一眼カメラの方のみ)

オーロラ用のレンズ選びに重要なのは、

  • F値の小さい、明るいレンズ
  • 16mmから35mmの範囲の広角のレンズ

この2点です。

まず、明るいレンズって何?とよく聞かれますが、見た目で言えば、レンズの口径がおおきいレンズ、つまり横幅が大きいレンズと考えていただければよいと思います。

レンズのガラス部分が大きいと、入ってくる光が多くなるので、「明るい」というわけですね。しかし、明るいレンズは高価なものが多いので、次の指標、F値(エフち)というものを見て、安価でも撮れる明るいレンズを探っていきましょう。

購入するときは、F2.8という数字まで小さくなるレンズが、オーロラ撮影にはおすすめです。レンズが明るいと、ノイズと呼ばれる画像の質を低下させるものも少なくできます。これが、F3.5やF4までしか小さくならないレンズだと、なかなかオーロラの微弱な光がレンズに入らず、撮影に苦労します。

つぎに、16mmから35mmをカバーしている広角のレンズですが、〇〇mmとは、画角の広さのことです。できれば20mmなど、画角が固定された単焦点レンズがオススメ

10mmなどのちいさい数字の場合は、かなりワイドで広角なレンズなので、地平線がぐねっと曲がり、あまりにも広く写しすぎてしまうために扱いにくく、初心者向ではありません。魚眼レンズは、撮影上級者になってから使いましょう。とてもむずかしいレンズですので、ここでは取り上げません。

また、星空撮影では迫力の出る50mmのレンズですが、どうしてもオーロラの一部を切り取って写すはめになり、周りの景色もあまり入らず、また光を集めにくく、残念な結果になることが多いです。ポイントは16mm〜35mmの範囲でレンズ選びをすることです。

単焦点レンズが良いというのは、ズームレンズより明るいレンズが多く、また、高精細(高解像度)のレンズが多いからです。

では、以下にオススメレンズを挙げておきましょう。

価格を調べる際には、レンズ名をコピーペーストして検索してみてください。

安価なオーロラ最適レンズ

広角ズーム

  • NIKON AF-P DX NIKKOR 10-20mm f4.5-5.6G VR (やや暗めですが描写はなかなかです。)
  • TAMRON 10-24mm F3.5-4.5 Di II VC HLD (値段の割に、設計自体がしっかりした印象です。)
  • CANON EF-M 11-22mm F4-5.6 IS STM  (超広角ですが、コスパでいうと優れます。)

広角単焦点

  • SONY FE 35mm F1.8

高価だが買えるなら狙いたいオーロラ最適レンズ

広角ズーム

  • SONY Vario-Tessar T FE 16-35mm F4 ZA OSS
  • NIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f2.8G ED
  • TAMRON SP 15-30mm f2.8 Di VC USD

広角単焦点

  • SIGMA Art 24mm f1.4
  • SAMYANG 24mm f1.4

One Point Advice

※高価なレンズを狙う場合、コマ収差や周辺減光などの性能についても調べておきましょう。

※また、お使いのカメラセンサーがフルサイズの場合、それに対応したレンズかどうか要チェックです。

1−3:足のながい三脚

三脚がつぎに重要な撮影ツールです。たとえばオーロラ撮影では、カメラのシャッターを通常5秒以上開けておく必要がありますので、それをきちんと固定しておくモノが必要になるわけです。いや、わたしは息を止めて手持ちで固定する!という人は、がんばってください(笑

こちら三脚も、何万円もするものを購入する必要はありません。ただし、おおくのオーロラ観測ロッジには観測デッキがあり、その周囲を木造のフェンスで囲ってあります。このフェンスの高さが1mから1.2mなので、できればその高さを超える足があると便利です。高いと安定性は少し落ちますが、カメラ操作を立ったままできるのは、非常に楽です!

日本の量販店で8000円程度で手に入る三脚は、たいてい1.5mくらいには伸びる三脚ですので、購入する際に伸ばして確認してみてください。その際に、できれば三脚の中央の棒、センターポールを15cm以上伸ばさずに、三脚全体で120cmを超える高さまで伸びる足がベストです。

アラスカ州フェアバンクスの街のスーパーにも、2020年現在、4000円前後で売っているので、オーロラツアー前に時間がある場合は、そこで購入するのも良いでしょう。他の街でも、行った先で調達できれば良いですが、購入できるのが確実かどうか、下調べが必要です。

One Point Advice

三脚を折りたたんだときに、お手持ちのスーツケースに入るかどうか、こちらの長さも調べておくと良いですよ!

1−4:カメラの防寒グッズ(補足情報)

ご自身の身を守る防寒対策は言うまでもないことですが、マイナス40℃にもなる冬のアラスカでは、カメラに対しても防寒対策が必要になります。まず、以下の基本グッズを集めましょう。

  • ジップロック

ご自身のカメラが完全に入る大きさのもの。これは寒い屋外から50度以上温度差のある屋内へ入ったときに、カメラへの結露を防止するためのものです。

  • タオルや帽子

屋外にカメラを出しておくときにかぶせておくことで、カメラに霜がつくのを防ぎ、ある程度保温効果がある。

  • ホッカイロ

長い時間カメラを外に出しておくとき、少しは役に立ちます。マイナス20度で20分くらいは持ちます。タオルや帽子にくるんで、直接外気にさらさないようにして使いましょう。

一眼レフカメラで、レンズを装着した状態では、なかなかジップロックに入りにくいかもしれません。そんなときは、穴の空いていないビニール袋を数枚重ねて、カメラを密閉します。密閉しないと意味がありません。これは、寒い屋外から、暖かく湿気のある室内へカメラを持ち込んだときの結露を防止するためのものです。

2.確実に撮るために必要なコト

オーロラ観測のベストスポットを決め、撮影道具も準備した。では、つぎに必要なのは、そうです。お勉強です! 次回の投稿記事【ゼッ写!シリーズ第1弾】ゼッタイ写したいオーロラ!パート3カメラの設定で、詳しく噛み砕いて解説していきますので、まずはここで、大枠だけ捉えておきましょう。

以下に基礎用語を4つ挙げておきました。これらをおぼえていただき、ご自身のカメラで操作できるようにしておいてください。ちなみに用語の後ろの文は、ぼくがオーロラ撮影の説明を現地でしているときに、よくあるお客さんの反応です(笑

2−1:ISO イソ?磯?

2−2:しぼり 搾るって、なにを?

2−3:シャッタースピード ああ、それならわかる。

2−4:マニュアルフォーカス ??? …ギアかなんかかね?

とりあえず、設定の前にこの4つが何かを知っておいてください。

以下に説明していきます。もし、ここでギブアップ!という方は、スマホで撮ることを考えてください!

2−1:ISO 

カメラセンサーの感度のことで、いかに光を素早く画像に定着させるか、を決定する値です。

フィルムを使っていた時代にもこの用語はありましたが、当時は「フィルム感度」と言われることが多く、ISOのほかにASAとも言いました。フジのベルビア800とか、最近復活したコダックのエクタクロームE100とかの、800や100という数字がISOの値のことです。

この数字は、小さいほど画質が高精細になり、光を定着させるのに時間がかかります。逆に、大きい数字800とか1600だと、より光の定着が速くなりますが、その分、画質は落ちます。そうです。厳密に言えば、素早く撮ることと最高画質は両立できないのです。ここはポイントです。

一部拡大:ISO12800  f/4  2.0秒 50mm

一部拡大:ISO 3200 f/4 8秒 50mm

このISOの性質は、デジタルカメラでもフィルムカメラでも同じです。お手持ちのカメラの、どこを触ればISOの数字を変更できるかを知っておいてください。5分でできますので、ISO100で撮影した画像とISO3200で撮影した画像を、カメラ内の再生機能をつかって拡大して見てみることをおすすめします。

2−2:しぼり 

搾るのではなく、レンズの中についている絞りです。

この絞りの値をF値(エフち)といいます。f1.8とかf2.8とか、だいたいf22くらいまであります。お手持ちのカメラの、どこを触れば、この絞りの数字を変更できるかを知っておいてください。

注意すべきは、F値が小さいほど絞りを開いた状態、たとえばめいいっぱいF値をさげて、F2.8(開放値)になったとすると、その値が、そのレンズで一番光が入る状態というわけです。

逆に、F値の数字を大きくしてF5.6とかF8とかにしていくと、絞りを絞る、つまり光をより少なく入るように、絞ってゆくわけですね。ここまでは大丈夫でしょうか。なぜ絞りなんてものが付いているかといえば、ピントと関係があるのですが、ここでは言及しません。

2−3:シャッタースピード

これは、レンズあるいはカメラのシャッター幕をどのくらい開けておくか、という時間です。

お察しの通り、この数字が長ければ長いほど、光の量が多くなり、出来上がる写真が明るくなります。つまり、シャッターを開けているあいだ中ずっと、外からの光をセンサーに写し込んでいるのだと考えてください。ISO、絞りと同様に、お手持ちのカメラの、どこを触れば、このシャッタースピードの数字を変更できるかも合わせて知っておいてください。

右図のように、このISOと絞りとシャッタースピードはすべて関係していて、オーロラ撮影では、この値の設定を使い、夜空に煌めく、光の弱いオーロラの像を、カメラに落とし込んでゆくのです。

2−4:マニュアルフォーカス(MF)

最後にカメラのピント=焦点=フォーカスについてお伝え致します。

ケータイカメラやコンパクトカメラを使っていると、あまり気にする必要がないことですが、すべてのカメラにはフォーカス(焦点)をあわせてから撮る、という機能が備わっており、フォーカスが合わなければ、すべての写真がピンぼけ写真になってしまうのです。

通常、SNSへの投稿写真や記念写真程度に撮影する場合、おそらく9割の方はカメラ任せに撮影していると思います。このときあなた自身は、カメラが自動で焦点を合わせるオートフォーカス機能(AF)に頼って撮影していることになります。

オーロラ撮影では、これを自分で設定する、マニュアルフォーカスを使用します。難しく考える必要はありません。手順はつぎの投稿パートでお話してゆきます。

以上の項目は、カメラの撮影の基礎の基礎です。ISO、絞り、シャッタースピード、マニュアルフォーカス。この4つを使いこなせば、写ります。たったこの4つを覚えるだけでオーロラが撮れるのです!

どうでしたか?オーロラを撮影するためには、準備がいかに重要か、わかっていただけましたでしょうか。準備なく現地へ来られると、どうしても撮影できない状況になってしまう場合があります。ぜひ、確実に撮るために「必要なモノとコト」押さえておいてくださいね!

次回は、オーロラ撮影の際のカメラ設定について、じっくり解説してゆきます。

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