パリの教会の中でも有名な大聖堂、サクレクール寺院について知りたいと考えていませんでしょうか。サクレクール寺院は、19世紀に戦争の犠牲者への祈りを捧げるために建設された寺院です。
聖堂内の天井モザイク画とサヴォヤルドと呼ばれる19トンの鐘はいずれも世界最大級であり、標高130mとパリで最も高い場所に建てられたドームの屋上は360度のパノラマが楽しめる展望スポットとして人気です。
今回は、サクレクール寺院の見どころや歴史、アクセス方法について紹介しています。ぜひ参考にしていただき、パリ旅行に役立ててください。
1.美しき寺院!パリにあるサクレクール寺院の見どころ8選

1-1 見どころスポット①「2騎の聖人像と1体の天使」
サクレ・クールとはフランス語で「聖なる心臓」を表し、それはすなわちキリストのことを意味します。フランス国内にサクレ・クールと名の付く教会は数多ありますが、いずれもイエス・キリストに捧げられた教会です。
大聖堂の正面ファサードを見上げると中央にはキリスト像が納められ、その両脇の前面に突き出たアーチの上に置かれた2体のブロンズ像はまるでキリストと大聖堂を守っているかのようです。
モンマルトルのサクレ・クール寺院で訪れる人を歓迎してくれるのは、このキリスト像です。彫刻家であり装飾芸術家のピエール・セガンによって作られたキリスト像は、片手で街を祝福しもう一方の手で彼の心を示しています。
両脇に控える馬の上の人物は左が聖王ルイ9世、右が聖女ジャンヌ・ダルクです。ルイ9世の像が左手に持っているのは「茨の冠」。彼がビザンティン皇帝から譲り受けたキリストの聖遺物です。2体とも彫刻家イッポリト・ルフェーヴルの作品で2体の銅像は彼の代表作でもあります。
1-2 見どころスポット②「ブロンズ扉のレリーフ」
大聖堂へは通常は正面入り口に3つある扉の両サイドが開かれているのですが、入場の前に扉とその上に目を向けると、重厚なブロンズの扉とその上にあるタンパンにも聖書の場面がレリーフで装飾が施されています。
中央と左のタンパンは彫刻家レオン・ファジェルによるもので、新約聖書から「キリストの死を確認するために脇腹に槍を刺す兵士ロンギヌス」と旧約聖書から「モーセが岩を杖で叩いて水を出す」という重要な場面が描かれています。
右のタンパンにあるのはイッポリト・ルフェーヴルによる「復活したキリストの傷に触れる聖トマス」のレリーフです。イッポリト・ルフェーヴルはブロンズの扉にもレリーフを残していて、サクレ・クールの場合は3つの扉に2枚ずつ、聖書の各場面が描かれています。
左右の扉は入場のために普段は常に開かれているため、表のレリーフを見逃さないように注意して通りましょう。中央のレリーフには「パンを増やして分け与えるキリストの奇跡」の場面、そして「最後の晩餐」の場面を見ることができます。
1-3 見どころスポット③「聖なる心臓・サクレ・クール」
左側の重いブロンズの扉をくぐると、天高く抜けるような空間が開けています。サクレ・クール寺院では他の教会より厳しく見学者のルートと信者の祈る空間を分けています。
中央の身廊(しんろう)と呼ばれる椅子の並んだ祭壇前のエリアはロープで区切られていますが、立ち入ることを咎められることはありません。
大聖堂内の見学は祭壇に向かって左の西側の通路へ行くと2人の聖人が描かれた2枚のステンドグラスです。1人は聖テレーズ、もう1人は聖フーコーです。どちらもサクレ・クールへの巡礼者として寺院にゆかりの深い2人です。
そして2人ともに体の中心には赤いハートがあるのがわかりますでしょうか。これは「聖なる心臓サクレ・クール」燃え尽きないバラ色の心臓が聖人の証として描かれているのです。
このサクレ・クールのシンボルは彫像が手に持っていたり、モザイク画に描かれていたりと、大聖堂内のあちこちで見ることができます。
1-4 見どころスポット④「成り立ちを語るモザイク画、海の聖母礼拝堂」
左手通路を進むときらびやかな金色のモザイク画と美術品のような聖水盤があります。ここではサクレ・クール寺院の成り立ちが語られていて、中央の祭壇を挟んで大聖堂の反対側にも同様のモザイク画と聖水盤が対のように置かれています。
モザイク画を過ぎて角を曲がった左手、そして正面には大理石やモザイク装飾の美しい小礼拝堂が現れます。左手にある「海の聖母礼拝堂」は海軍の礼拝堂として知られ、モザイクの中にキリストのシンボルである魚、そして海の希望のシンボルである碇(いかり)のマークが象徴的に描かれています。
隣はフランス王妃に捧げられた小礼拝堂です。大聖堂内部の小礼拝堂はどれも象嵌(ぞうがん)の装飾が施された大理石の柵で囲われ、両脇の壁に大きなモザイク画があるなど、パリ市内の他の教会と比べると、かなり贅沢な作りです。
1-5 見どころスポット⑤「ドーム内部天井画モザイク」
書店に背を向けて斜め上を見上げてみれば、サクレ・クールの特徴でもある高さ55m・直径16mのドームの突き抜けるように高い天井があります。
ドームを支える4つのアーチの隅には十字架を抱えた天使の像、内側の縁(ふち)の部分には石でエッチングされたラテン語の文字が掲げられ、シンプルですが厳かな雰囲気を醸しています。
ここに書かれているのは「SACRATISSIMO(サクラティシモ)」。ラテン語で「神聖な」「至高なる」を意味するこの言葉は、祭壇の天井モザイク画に書かれた文章の最初の単語です。文章の意味は「悔い改めたフランスをイエスの聖なる御心に捧げる」サクレ・クール寺院建設の志です。
建物の完成に9年遅れて完成した天井モザイク画は世界最大級の475平方メートルです。あまりに大きく、描かれた天井はドームになっているので正面からは絵の両端がよく見えません。
1-6 見どころスポット⑥「聖マリア小礼拝堂の聖母マリア昇天のモザイク画」
聖堂内をさらに奥へ進むと、祭壇の真裏にあたる場所に他とは雰囲気も異なる特別な小礼拝堂が現れます。ここがサクレ・クール寺院の2つめの天井モザイク画で知られる、聖マリアの小礼拝堂です。
中央の祭壇には幼子イエスを抱いた聖母マリアの像が祀られています。聖母の足はしっかりと蛇を踏みつけ、エデンの園で蛇にそそのかされた「エヴァの罪」から人間を解き放つ象徴的な存在であることを示しています。
そして、聖母の頭上にあるのが聖母マリア昇天を描いたモザイク画です。金色の光の中で6人の天使に導かれ天へ昇る聖母マリアは非常に美しく、中には長い時間椅子に座ったまま天井を見つめるひともいます。
1-7 見どころスポット⑦「300段の狭い螺旋階段の先には360度パノラマ展望」
サクレ・クール寺院の屋上ドームから見る眺めは絶景です。ドームへ登る入り口は大聖堂の正面左手にあります。チケット売り場でチケットを購入したら、あとは300段の階段を上ります。内部にはエレベーターや踊り場の休憩ポイントのようなものは一切ないので、万全の体制で臨みましょう。
ドームへの入り口をくぐると、階段を半分すぎるくらいまでは、すれ違うのが難しいくらいに狭くて薄暗く変化のほとんどない螺旋階段をひたすら上ります。天井も低い上、ところどころ足元が見えづらい箇所もありますので焦らずゆっくり進みましょう。
人によっては非常に辛いという300段ですが、上りきった人へのご褒美は標高130mの丘に建つ高さ83mのドームからパリの街を見下ろす最高の景色です。360度のパノラマ展望だから、ぐるりと東西南北の景色が味わえます。特にエッフェル塔とサヴォヤルドのある白い鐘の塔のツーショットはここからしか撮影できない1枚です。
1-8 見どころスポット⑧「ピエタの小礼拝堂を中心に聖人たちの眠る墓所」
サクレ・クール寺院のガイドの最後を締めくくるのは、クリプトと呼ばれる地下聖堂です。大聖堂は基礎工事、地下聖堂、地上の聖堂という順番で作られたため、寺院の中でも一番最初にできた場所とも言えるかもしれません。
大聖堂の正面入り口にあるテラスの左手から降りていき、建物の間の溝のような通路を進むと地下聖堂の入り口です。地下聖堂は巡礼者の礼拝なども考慮されて作られたためか、ドームへ上る階段よりずっと広々とした造りになっています。
中に入れば地下の墓所やクリプトと聞いてイメージするような暗いジメジメした印象はあまりなく、キリスト教の聖人が眠るのにふさわしい静かで厳かな空気に満ちた場所です。
地下聖堂の中央、ちょうど祭壇の真下にあたる一角を占めるのがこのピエタの小礼拝堂です。ピエタの名の通り、十字架から降ろされたキリストの亡骸を抱く聖母マリアの彫刻が正面に置かれています。
2.パリの人気観光地!サクレクール寺院の概要
