「ナポリを見てから死ね!」というイタリアのことわざがあります。
世界三大夜景の一つに数えられるナポリは、海と火山に囲まれた風光明媚な名所として知られ、その美しい景観を見るまでは死ぬことができないという意味です。
そんな港町ナポリの景観を代表するのが、サンタルチア港です。
沖合に浮かぶ要塞”卵城”からは、遠くに見えるヴェスヴィオ火山が望め、港一帯を含めた壮大なパノラマが広がります。
1. サンタルチア港と卵城の波乱万丈な歴史
サンタルチア港の卵城はナポリでもっとも古い要塞。
港の美しい景観と合わせて、ナポリ観光の定番中の定番です。
ところで*卵城*という変わった名前の由来はどこから来ているのでしょうか。実際に卵城を訪れてみても、卵型の形をしているわけではありません。
じつは卵城の名前の由来は古代の伝説から来ています。
それは古代ローマの詩人ヴェルギリウスが残した次の言葉です。
「城の基礎に埋め込まれた*卵*が割れたとき、ナポリは滅びるだろう」
卵城はもともと古代ローマの時代に皇帝の別荘として建設されたのがはじまりです。
11世紀にノルマン人がナポリを支配したときに本格的に要塞として利用されるようになりました。
ちなみにナポリを滅ぼす呪いの卵を城に埋め込んだのは、このときのノルマン人だという説もあります。
その後は修道士のための施設として利用さりたり、14世紀のアンジュー家もとで再び要塞となったり、波乱万丈な歴史を経験します。17世紀には完全に壊されてしまい、その後再建されています。