みなさんは紹興酒をお飲みになったことはあるでしょうか。脂っこい中華料理との相性が抜群なので、本格中華のフルコースなどで出されると、おいしさのあまりつい飲み過ぎてしまった…という人も少なくないでしょう。
そこで今回の記事では、フランスのワイン、日本の純米吟醸酒と並んで「世界三大美酒」と呼ばれている紹興酒について、原料や醸造方法、色や味の特長、おいしい飲み方などをまとめてみました。
1.紹興酒とはどんなお酒?
紹興酒と蒸し鶏
うっ まっ! pic.twitter.com/bnfvmBH8Bw— 酒クズコージ (@iwbk) 2018年9月19日
紹興酒とは、黄酒の一種で、上海の南に位置する浙江省の紹興市付近で造られているお酒です。中国の酒は原料と製法により、大きく次の3つに分類されます。
穀物で造る蒸留酒の「白酒(パイチュウ)」、果実で造る醸造酒の「紅酒(ホンチュウ)」、そして米で造る醸造酒の「黄酒(ホアンチュウ)」です。
原材料にはもち米を使用していますが、亜熱帯気候に属する紹興は昔から良質なもち米の名産地であり、なおかつ水がきれいなことで有名な鑒湖(かんこ)という湖もあるため、古来より黄酒の名産地となっていったわけです。
なお、日本で出回っている紹興酒には台湾産が多いのですが、本来なら紹興エリア以外で造られた黄酒は紹興酒と名乗れません。
フランスのシャンパーニュ地方で造られたスパークリングワインでなければ、シャンパンと名乗れないのと同じです。
2.紹興酒にまつわる歴史と慣習とは
紹興市がある浙江省では、古代黄河文明の時代から酒が造られていたことが書物に記されています。
紹興酒が歴史に初めて登場したのは今から2500年近く前の春秋時代で、それ以降も中国のいろんな書物の中に紹興酒が登場します。
紹興の特産品として本格的に酒造りがスタートしたのは10世紀後半からで、当時の紹興酒は「蓬莱春酒」と呼ばれ、高貴な方への贈物として特別扱いをされていました。
酒を出荷する中秋の時期には都で祭事が行われ、それを見たさに見物客が大勢集まってきたそうです。
また、かつての紹興では女の子が生まれると、誕生3日目を祝って贈られた米を使って酒を醸し、かめに入れて地中に埋め、娘が結婚する日に掘り出して嫁入り道具として持たせたり、祝いの酒として客に振る舞う慣習があったと言われています。
3.紹興酒の種類と色に関する豆知識を紹介
紹興酒はもち米、麦麹、水を主原料としており、その他に加える材料と熟成期間の違いなどによって、大きく次の4種類に分けられます。
①元紅酒
②加飯酒
③善醸酒
④香雪酒
①の元紅酒はすべての紹興酒の基本であり、中国では最もよく飲まれていますが、日本では一般的に紹興酒と言えば②の加飯酒のことを指します。
加飯酒は元紅酒よりも米と麹を1割多く使用し、醸造後最低3年間熟成(陳醸)させたものです。