紹興酒と日本酒では原材料(米)や醸造方法などで共通点は多々あるのですが、日本酒が透明であるのに対して、紹興酒は濃厚な琥珀色をしています。
その理由としては、アミノ酸の量が日本酒より数十倍も多く、このアミノ酸が熟成期間中に糖と化学反応を起こして褐色物質を生み出すためと言われています。
ただ、今日では市販品の多くにカラメルが添加されており、その色味が影響していることが多いようです。
4.熟成期間別・紹興酒の味の違いについて
アルコール度数が高そうに見える紹興酒ですが、実際は焼酎より低く、ワインや日本酒より少し高い程度です(18〜19度)。
主な市販品は、熟成期間によって3年陳醸から20年陳醸に分かれ、味わいもそれぞれ少しずつ異なります。
日頃中華料理店などで目にする機会が多く、値段もお手頃な3年陳醸と5年陳醸は、甘味よりも酸味の方が強く感じられます。
そのため飲み口はドライで力強く、脂っこい料理や香辛料を効かせたスパイシーな料理には最適です。8年陳醸から12年陳醸クラスになると、酸味が幾分弱まって角が取れ、口当たりがずいぶんと柔らかくなります。
相対的に甘味と旨味が立ってくるため、発酵調味料である醤油や味噌をベースにした料理によく合います。
そして15年陳醸や20年陳醸クラスともなると、色・香りともに濃厚さを増し、口当たりも上品かつまろやかで、酸味はほとんど感じられなくなります。
その分複雑で深みのある旨味が口の中に広がるため、素材そのものの味を楽しむような料理に合わせたくなります。
5.こんなに美味しい!紹興酒の飲み方をいろいろ
紹興酒の飲み方①「ストレート」
中国では、そのままストレートで飲むのがごく一般的です。紹興酒ならではの芳醇な香りと、まろやかな旨味を最も感じ取ることができます。
特にまろやかさと旨味が増した12年陳醸以上の熟成酒については、一杯目だけでもぜひストレートで味わってほしいものです。
なお、温度は本来常温で飲むのがおすすめですが、独特な風味が少し苦手な方には、冷蔵庫で冷やしてから飲むと香りが抑えられて飲みやすくなります。
紹興酒の飲み方②「オンザロック」
ロックにすると温度が冷たくなると同時に重厚さも少し和らぐため、辛味の強い料理などには合わせやすくなります。
大きめのグラスにクラッシュアイスを入れて注ぎ、カットレモンを添えるのも一興です。
紹興酒の飲み方③「ソーダ割り」
独特な香りや風味が苦手な方、アルコールに弱い方には、ソーダで割った「上海ハイボール」はいかがでしょう。
レモンを少量絞るとより爽やかさが増して飲みやすくなります。
紹興酒の飲み方④「カクテル」
烏龍茶で割る「ドラゴン・ウォーター」、紹興酒2:梅酒1でブレンドする「梅ロック」、ジンジャエールで割ってスライスレモンを添える「香港フィズ」などがポピュラーです。
紹興酒の飲み方⑤「ホット」
紹興酒の香りが好きな方には、人肌くらいのぬる燗がおすすめです。華やかな香りがグラスから立ち上り、口当たりもまろやかさを増します。
なお寒い冬には、千切りにした生姜を2、3本浮かべると代謝が上がり、体も心もポカポカと温まりますので、冷え性の方はぜひお試し下さい。
6.まとめ
最後に一つだけ補足です。日本では、紹興酒というのは氷砂糖やザラメを入れて飲むもの、と思い込んでいる人がいるようですが、これは正式な飲み方ではありません。
酒は嗜好品なので楽しみ方は人それぞれですが、これから紹興酒を飲んでみようという方には、まずはそのままの味を体験されることをおすすめします。